サンクトペテルブルク、2006年7月16日
国際的なエネルギーに関する課題
1.エネルギーは、先進国及び開発途上国における生活の質及び機会を向上するために不可欠である。したがって、市場の基礎的条件を反映した価格での、十分で、確実な、かつ、環境の面での責任を果たすエネルギー供給を確保することは、我々各国及び人類全体にとっての課題である。
2.このような包括的な目標に取り組むために、我々は、次のような重大かつ相互に関連した課題に対応しなくてはならない。
- 高値かつ不安定な石油価格
- 増大するエネルギー需要(2030年までに50%以上増加し、その約80%は依然として限りある資源である化石燃料によるものと予想される。)
- 多くの国における輸入依存の増大
- エネルギー・チェーン全体における莫大な投資の必要性
- 環境保護及び気候変動への対処の必要性
- 重要なエネルギー・インフラの脆弱性
- 政治的不安定、自然災害及びその他の脅威
これらの課題の国際的な性質、また、生産国、消費国及び通過国の間の相互依存の増大は、世界のエネルギー安全保障を強化するためのすべての関係者間の強固な連携を必要とする。我々は、透明性があり、効率的かつ競争的な国際エネルギー市場を発展させることが、この点に関する我々の目的を達成する最善の方法であることに意見の一致をみた。我々は、政府及び関連国際機関もまた、国際的なエネルギーに関する課題への取組みに重要な役割を果たすことを認識する。
3.開発途上国において、現在燃料への持続的なアクセスを有さない24億人と電気への持続的なアクセスを有さない16億人がこれらを持続的に利用できるようにすることなしに、世界のエネルギー安全保障も、国連ミレニアム開発目標も十分には達成し得ない。これらの人々は、忘れられたり疎外されたりしてはならない。
国際社会の対応
4.政治的意志があれば、国際社会は、3つの相互に関連する問題、すなわち、エネルギー安全保障、経済成長及び環境保護(3Es)に効果的に対処することができる。国際的なエネルギーに関する課題に対し、公正で競争的な市場に基づいた対応をとることは、エネルギー源、供給及び通過に影響を及ぼす潜在的な阻害行動を排し、長期にわたり力強く持続的な我々の文明の発展にとって安定的な基盤を創設することに資する。
5.我々は、環境面での共通の目標と整合的で、包括的かつ協調的な方策を通じ、エネルギー安全保障を追求する。我々は、昨年グレンイーグルズにおいて、「気候変動、クリーン・エネルギー及び持続可能な開発のための行動計画」の下で我々の取組みを強化することで意見が一致し、2008年の日本でのG8首脳会合においてその結果を報告することとなっているこれらの問題に関する対話を前進させることを決意した。我々は、このコミットメントを再確認する。
我々はまた、エネルギー貧困を削減するための我々の精力的な努力と連動して、国際連合気候変動枠組条約(UNFCCC)に対する、そして、温室効果ガスの排出を削減し、地球環境を改善し、エネルギー安全保障を強化し、大気汚染を削減するという我々が共有する複数の目的を達成することに対する我々のコミットメントを再確認する。我々はまた、開発途上国におけるエネルギーへのアクセスの改善に取り組むことについて意見の一致をみた。
世界のエネルギー安全保障についての原則に関する宣言
6.世界のエネルギー安全保障の推進においてエネルギーの生産国及び消費国が共有する利益を認識し、我々G8首脳は、以下についてコミットする。
- 力強い世界の経済成長、効果的な市場アクセス及びエネルギー・サプライ・チェーンのすべての段階における投資
- 世界のエネルギー安全保障の鍵としての、エネルギーの生産、供給、使用、送達及び通過業務の、開かれた、透明性があり、効率的なかつ競争的な市場
- 上流及び下流における十分かつ持続的な国際的投資を創出するための、契約を維持する義務を含む、透明性があり、公平で、安定的かつ効果的な法規制の枠組
- 増大する相互依存、供給と需要の安全保障についての関係する利害関係者の展望に関する対話の強化
- エネルギーの供給及び需要、エネルギー源、地理的及び分野別の市場、輸送路、輸送手段の多様化
- 国内的及び国際的レベルでのイニシアティブを通じた、省エネルギー及びエネルギー効率のための措置の推進
- 気候変動への取組みに資するような、環境上適正なエネルギー開発とエネルギー利用及びクリーン・エネルギー技術の展開と移転
- 腐敗抑制のための、エネルギー分野における透明性及び良い統治の推進
- 戦略的備蓄の協同計画を含む、エネルギーについての協調的緊急時対応
- 重要なエネルギー・インフラの保全
- 開発途上国における最貧困層のエネルギーに関する課題への取組み
7.以上の目的、原則及び方策に基づき、我々は、以下の行動計画を通じて、我々共通の世界のエネルギー安全保障についての戦略を実施する。我々は、他の国々、関係国際機関及びその他の利害関係者に対し、この努力に我々とともに加わることを呼びかける。
サンクトペテルブルク行動計画
世界のエネルギー安全保障
1.我々は、これまでのG8首脳会合でエネルギーに関して意見の一致をみた事項を実施し、これに基づいて前進することへのコミットメントを再確認する。我々は、以下の鍵となる分野における行動を通じて、世界のエネルギー安全保障を強化する。
- 世界のエネルギー市場の透明性、予見可能性及び安定性の向上
- エネルギー分野における投資環境の改善
- エネルギー効率及び省エネルギーの向上
- エネルギー・ミックスの多様化
- 重要なエネルギー・インフラの物理的な保全
- エネルギー貧困の削減
- 気候変動及び持続可能な開発への取組み
I. 世界のエネルギー市場の透明性、予見可能性及び安定性の向上
2.自由で、競争的かつ開かれた市場は、世界のエネルギー・システムが効率的に機能するために不可欠である。透明性向上のための努力、法の支配の深化及び拡大のための努力、予見可能で効率的な財政及び規制制度を確立し及び強化するための努力、また、健全なエネルギー需給政策の奨励のための努力は、すべて世界のエネルギー安全保障の維持に重要な役割を果たす。これらの努力は、不確実性を減少させることにより、エネルギー市場の動向に関する理解を向上させ、また、その結果、健全な投資決定及び競争力を向上させる。すべての市場参加者の間で、適時のかつ信頼に足る情報を定期的に交換することもまた、世界のエネルギー市場が円滑に機能するためには不可欠である。透明性があり、予見可能な国家のエネルギー政� �及び規制環境は、効率的なエネルギー市場の発展を促進する。我々は、エネルギー生産国とエネルギー消費国の間で、各々の中長期的な政策上の計画やプログラムに関する情報交換を行うこと等、これらの問題に関する対話を拡大する方法について検討することを、国際エネルギー・フォーラム(IEF)に呼びかける。
3.我々は、共同石油データイニシアティブ(JODI)の公開開始を歓迎し、石油その他のエネルギー埋蔵量を報告するための国際共通基準の策定等を通じて、石油その他のエネルギー源に関する市場データのすべての国による収集及び報告を改善し及び強化するための更なる行動をとる。この観点から、我々は、IEFに対し、JODIへの参加国の拡大に取り組み、データの質及び適時性を引き続き改善することを呼びかける。
4.腐敗防止のための闘いの重要な手段として、我々はまた、採取産業透明性イニシアティブ(EITI)及び国際通貨基金の資源歳入の透明性に関する指針(GRRT)の文脈等で、エネルギー輸出により得られる公的歳入の管理をより透明性があるものとするための取組みを進める。
5.明確で、安定し、かつ予見可能な国家の規制枠組は、世界のエネルギー安全保障に大きく貢献するものであり、多数国間の取決めは、これらの枠組を更に強化し得る。我々は、エネルギー憲章条約の原則及びエネルギーについての国際的な協力を向上する参加国の努力を支持する。
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