日露戦争を「日本の勝利」に賭けたセオドア・ルーズベルト大統領-司馬遼太郎を勝手に語るブログ
すでに歴史にて勝敗が決している日露戦争において、「日本の勝利」を予想していた人物がいたと書いても、あまりインパクトはないかもしれません。しかし、その理由が興味深いのでご紹介したいと思います。
セオドア・ルーズベルト (アメリカ第26代大統領:写真)です。(坂の上の雲では「セオドル・ルーズヴェルト」の表記)
どのような人物であったかというと、ウィキペディアには「1905年には日露戦争で日本・ロシア間の調停をつとめ、停戦からポーツマス条約での和平交渉に尽力した。この和平交渉の斡旋によってルーズベルトは1906年ノーベル平和賞を受賞した。」と書かれています。また、32代大統領フランクリン・ルーズベルト は従弟に当たります。
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さて、セオドア・ルーズベルトが何故、日露戦争で日本の勝利を予想していたかといえば、理由は簡単です。「専制国家はほろびる」という、唯一つの理由です。
日本とロシアの戦力を分析した上で、積極的に日本の勝利を信じていたわけではないのです。以下、引用します。
ロシアは日本のように憲法をもたず、国会をもたず、その専制皇帝は中世そのままの帝権をもち、国内にいかなる合法的批判機関ももたなかった。(坂の上の雲 六巻 P78より)
ロシアに内閣はありましたが、内閣とは名ばかりで、いわば皇帝の側近(太鼓持ち)の寄せ集めに過ぎません。絶対権力を持つ皇帝に異を唱えることはできず、異を唱えたとしても、左遷させられるのがオチだからです。(実際に、日露戦争の開戦に反対であったウィッテの主張は、皇帝から退けられ、実質上の追放をされている)
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このため、独裁体制下の国では、前線で戦う軍隊は、目前の敵よりも、背後にいる宮廷(皇帝と側近たち)に神経を配らざるを得ません。当ブログの「黒溝台会戦は、ロシアに勝たせてもらった?」でも触れましたが、宮廷に気に入られようとして、味方の足を引っ張るような事態も引き起こされてしまいます。
しかし、日本にはロシア皇帝のような絶対的な独裁者はおらず、目の前のロシアとの戦いに専念することができました。
(※日本でも、統帥上は"天皇の軍隊"ではありますが、実際の軍隊の運営は、国会から付託されています。このため、天皇は独裁者ではありません。日本では立憲体制の国家統治が、健全に働いていました)
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結果的に日露戦争は、日本の勝利というよりも、専制国家ロシアの自滅であったのです。一つには、極東を支配したいという、皇帝ニコライ二世の野望が招いた結果です。また、ロシア国内に広がる革命気分を散らす目的のために仕掛けられた、内政的な策略が挙げられます。
専制国家のロシア帝国には、国家戦略と呼べるような戦略は存在しませんでした。たった一人の絶対権力者の野望と、ごく一部の側近たちの保身や都合によって、戦争を始めてしまったのです。
現在で言えば、北朝鮮が専制国家になるでしょう。国の最高指導者が、三代にわたって父子に受け継がれようとしています。また、北朝鮮の背後に控える中国の存在も不気味です。中国共産党による一党独裁制ですから、実際上には、一人の権力者による専制国家も出来上がってしまうのです。
「専制国家はほろびる」とセオドア・ルーズベルトは言いました。実際に日露戦争後、帝政ロシアは崩壊しましたし、長い歴史の中では、専制国家の繁栄は続かないことも証明されています。
今後のアジア情勢は、どのように展開していくのでしょうか? 北朝鮮と中国を隣国に持つ私たち日本人は、よくよく深く洞察していかなければなりませんね。
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